使える支援制度ガイド

障害者相談支援専門員のための就労移行支援・就労継続支援活用ガイド

Tags: 就労移行支援, 就労継続支援A型, 就労継続支援B型, 障害福祉サービス, 相談支援

導入:就労系障害福祉サービス理解を深め、クライアントの「働く」を支援する

本記事は、障害者相談支援専門員である皆様が、クライアントの就労を支援する上で不可欠となる「就労移行支援」および「就労継続支援(A型・B型)」に関する知識を深め、実務に役立てていただくことを目的としています。これらのサービスは、障害のある方が社会参加し、自立した生活を送る上で非常に重要な役割を担います。

この記事を通じて、各サービスの概要から対象者、具体的なサービス内容、利用手続き、そして実務上の注意点まで、網羅的かつ正確な情報を提供いたします。複雑な制度を体系的に理解し、クライアントへの的確な情報提供やサービス等利用計画の作成に資する内容となるよう構成いたしました。

制度・サービスの概要

障害者総合支援法に基づく就労系障害福祉サービスは、障害のある方の「働きたい」という希望を実現し、安定した就労を支援するための多様な選択肢を提供します。

就労移行支援

就労継続支援A型

就労継続支援B型

対象者・利用条件

各サービスには、それぞれ異なる対象者と利用条件が定められています。

就労移行支援

就労継続支援A型

就労継続支援B型

サービス内容・給付内容

各サービスは、障害のある方の就労に関する多様なニーズに対応するための具体的な内容を提供します。

就労移行支援

就労継続支援A型

就労継続支援B型

関連制度・サービスとの連携

これらの就労系サービスは、他の障害福祉サービスや地域の関係機関と密接に連携することで、より効果的な支援が実現します。例えば、就労移行支援の利用中に生活支援(居宅介護、グループホームなど)を併用したり、就労定着支援事業(2018年4月より創設)と連携して就労後の定着を支援したりすることが可能です。また、ハローワーク、地域障害者職業センター、就労支援センターなど、地域の就労支援機関との連携も重要です。

利用手続き・申請方法

就労系障害福祉サービスを利用するためには、以下の手続きを経て、市町村からサービス利用の支給決定を受ける必要があります。

  1. 相談・情報収集:
    • まずは、お住まいの市町村の障害福祉担当窓口や、地域の相談支援事業所に相談します。
    • 相談支援専門員が、利用者の状況や希望を丁寧に聞き取り、適切なサービスの情報提供や、サービス等利用計画作成のための支援を行います。
  2. 利用申請:
    • 市町村の障害福祉担当窓口に、障害福祉サービスの利用を申請します。
    • 必要書類: 申請書、障害者手帳(お持ちの場合)、医師の意見書(就労移行支援の場合に求められることがあります)など。
  3. アセスメント・認定調査:
    • 市町村の職員または指定特定相談支援事業所の相談支援専門員が、申請者の心身の状況、生活環境、就労への希望などを把握するためのアセスメント(認定調査)を行います。
    • この調査に基づき、障害支援区分の認定や、サービス利用の必要性が判断されます。
  4. サービス等利用計画案の作成:
    • 指定特定相談支援事業所の相談支援専門員が、アセスメントの結果や本人の意向を踏まえ、就労系サービスと他のサービスを組み合わせた「サービス等利用計画案」を作成します。この計画案は、利用するサービスの種類、量、期間などを具体的に示したものです。
    • ご自身で「セルフプラン」を作成することも可能ですが、専門員の支援を受けることが一般的です。
  5. 支給決定・受給者証の発行:
    • 市町村は、サービス等利用計画案の内容や障害支援区分の認定結果に基づき、サービスの支給を決定します。
    • 支給が決定されると、「障害福祉サービス受給者証」が発行されます。この受給者証には、利用できるサービスの種類、支給量、利用者負担上限月額などが記載されています。
  6. 事業所との契約:
    • 受給者証を受け取った後、利用希望者は、サービス等利用計画に沿ってサービスを提供する事業所を選択し、直接利用契約を締結します。
    • 見学や体験利用を通して、ご自身に合った事業所を見つけることが重要です。
  7. サービス利用開始:
    • 契約締結後、サービスの利用が開始されます。
    • サービス利用開始後も、相談支援専門員が定期的にモニタリングを行い、必要に応じてサービス等利用計画の見直しを行います。

利用上の注意点・最新情報

まとめ

就労移行支援と就労継続支援(A型・B型)は、障害のある方がその能力に応じた形で社会参加し、自立した生活を送るための重要な支援制度です。障害者相談支援専門員として、これらの制度に関する深い理解は、クライアントへの質の高い支援を提供する上で不可欠です。

本記事で解説した各サービスの概要、対象者、内容、手続き、そして利用上の注意点を踏まえ、個々のクライアントのニーズに合わせた最適なサービス等利用計画を作成し、その「働く」を力強くサポートしていただければ幸いです。常に最新の情報を確認し、多角的な視点から支援を提供することで、クライアントの可能性を最大限に引き出すことに貢献できるでしょう。